MTN マネートゥデー | The Leader 第26回 作家インタビュー
MTNマネートゥデー〈The Leader〉第26回(2013年12月2日)のキム・ヒョンジョン作家インタビューです。
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静的な芸術の領域と見なされてきた東洋画に、破格の風が吹いています。韓服を美しくまとってラーメンを食べたりハンバーガーを食べたり、紙袋をひと抱え持って歩く女性の姿まで——既存の観念を裏返す破格の東洋画で関心を集めている主人公は、「Naesoong(ネスン——本心を隠して取り繕う態度を指す韓国語)」シリーズで注目される新進画家キム・ヒョンジョンです。
**自己紹介をお願いします。**
こんにちは。私は「Naesoong物語」を描く東洋画家キム・ヒョンジョンです。韓服を着たまま、ときには自転車に、ときにはバイクに乗る絵を描いています。韓服が与える上品さと、その裏側の秘めやかさに着目して絵を描き始めました。3月に仁寺洞のギャラリーでの個展を始まりに、6月には芸術の殿堂で個展を行い、今はソウル大学校大学院の修士課程で学びながら制作を続けています。
**作品の題材やアイデアは主にどこから得ますか。**
本当に日常生活から得ます。たとえばハンバーガーを食べている〈アチャ(しまった)〉という絵を見ていただくと、私は制作しながら食事を抜くことが多く、デリバリーをよく利用するのですが、食べものに手を汚さないよう箸でつまんで食べようとしていると、「ああ、これこそ本当にNaesoongだな」と思う瞬間があったのです。食べるために生きているのか、生きるために食べているのか分からなくなるその瞬間を絵に収めたのが〈アチャ〉という作品です。
**なぜよりによって韓服を題材に選んだのですか。**
私も絵を描きながらずっと考えてみたのですが、おそらく最初は単純に韓服が好きで題材にしたのだと思います。韓服が与える特有の上品さ、そしてその中に隠された秘めやかさがあると思うのです。広いチマ(スカート)の中でどんなことが起きているか分からないという点がおもしろく、それが人間の内面と外面の物語を扱える仕掛けのように感じられて、「Naesoong物語」を始めることになりました。
**「Naesoong」という言葉が持つ意味は何でしょう。**
よく「Naesoong」というと、女性が男性の前で食べものを少しずつ食べる姿のようなものを思い浮かべるでしょうが、私が絵で用いるNaesoongの意味はそれよりはるかに広いものです。性別に関わりなく、誰にでも他人によく見られたい欲望がありますよね。そうした普遍的な気持ちを描き出したいのです。はじめは「Naesoongは自分の姿ではなく、ほかの人の姿だ」と考えて始めたのですが、ある日、明け方まで絵を描いていてもうろうとした状態で鏡の前を通り過ぎたら、絵の中の人物とそっくりな自分の姿が映っていたのです。その瞬間、気づきました。ああ、Naesoongは実は自分の姿で、自分とあまりに似ているから憎んでいたのだな、と。そうして認めてからは、かえって絵が楽に運ぶようになりました。
**作品の中のモデルは誰ですか。**
人物を違うように描いても、少し違うだけでまったく別の人になってしまうので、もっとも簡単にずっと見続けられるモデルは、結局自分自身でした。私自身の話でもあるので、自画像を描いているようなものですね。
**実際の制作の過程はどのようなものですか。**
まず構想とアイデアをもとに小さくスケッチをし、どんなメッセージを伝えるか考えたうえで写真を撮ります。はじめから韓服を着て撮るのではなく、動きやすい服装で先に撮影し、それをもとに人物のヌードスケッチをします。そのあと再び韓服を着せてもう一度撮影し、その資料をもとにまた絵を描きます。鉛筆で丹念にスケッチする過程を経てから本格的に東洋画の作業に入るのですが、韓紙にそのままスケッチを移すと韓紙が弱くて消せないため、まず水墨淡彩で薄く彩色してヌードを表現し、そのうえで人形に服を着せるように韓服を描き入れます。チョゴリの部分は自分で染めた韓紙をコラージュの技法で貼り、チマの部分は墨で表現します。墨という材料は宇宙森羅万象をすべて表現するという言葉があるほど深い意味を含んでいるので、想像の空間のような広いチマの裾を表現するのに墨がよく似合うと思いました。
**作品への反応はいかがですか。**
好意的に見てくださる方もいますし、大学院でともにクリティーク(合評)をしていればさまざまな意見を聞くことになるのですが、そのたびに批評というより、これから制作をどんな方向へ進めるか考える機会にしています。
**作品をSNSで公開する理由は何ですか。**
私が夢見る世界と触れ合う部分なのですが、美術がもっと大衆と語り合える媒介になってほしいと思っています。ほかの芸術ジャンルに比べ、美術はやりとりが難しいほうなので、著作権などを気にするなら作品を公開しないほうが安全でしょうが、私はもっと多くの方と分かち合い語り合いたくて、SNSに制作の過程を地道に上げています。
**今後の計画は何ですか。**
来年6月に仁寺洞で2週間の個展を開く予定で、海外ではニューヨークや香港などで展示を続けてきました。はじめは韓国的な情緒が海外の観客に共感されるか心配でしたが、かえって展示を重ねるほど、より多くの共感とおもしろがってくれる反応を得られ、販売にもつながるのを見て、「韓国的なものこそがもっとも世界的なものだ」ということに気づきました。
もう一つ準備しているのは「Naesoongオリンピック」という仕事です。実際のオリンピックがギリシャ・ローマ時代から続く種目で成り立っているとすれば、「Naesoongオリンピック」は21世紀を生きる私たちが日常で楽しむスポーツで成り立ちます。ジムやジョギングのようなありふれた運動だけでなく、日常で感じる逸脱の瞬間までも、広い意味でのスポーツとして収めてみたいです。
**これからどんな作家になりたいですか。**
語り合う作家になりたいです。「Naesoong物語」を続けながら、「ソーシャル・ドローイング」という新しい試みもしてみたいです。私が制作の過程や作家ノートをSNSに上げると、コメントやメールでさまざまな解釈を送ってくださる方がいます。そんなやりとりが、まるで集団知性を用いたようにより良い結果を生み出せるのではないかと思ったのです。構想の段階からともに参加し、制作の途中の過程もともに見守りながら解釈も分かち合う方法へと発展させてみたいです。