マガジンアート | キム・ヒョンジョン個展「2014 Naesoongオリンピック」
『マガジンアート』2014年6月号(110号)の「Preview Exhibition」コーナーに掲載されたキム・ヒョンジョン個展の紹介記事(パク・イルギュ記者)です。展示情報は「2014.6.18(水)〜7.1(火)、インサアートセンター1階本館」として紹介され、オリンピック・運動を題材にした「Naesoongオリンピック」連作5点(ムクゲの花が咲きました・マラソンランナー・私を持ち上げる・純情な女性・完璧な食卓)と作家インタビューが併せて掲載されました。
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「その場にとどまるためには、絶え間なく走り続けなければならない」
赤の女王効果とも呼ばれるこの言葉は、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』で赤の女王がアリスに語った言葉です。
自分が動くとき、周囲の世界もともに動いているのだから、他人を追い越したいと思えば、あるいはそれができなくとも現状を維持したいと思えば、絶え間なく走り続けなければならない——この言葉は、時代を問わず、その時々の「現代人」の姿を代弁してくれます。
戦争を繰り広げるかのような競争のなかで激しく生きる人々の一日一日は、バーベルを持ち上げるように「自分自身の重さ」とともに、社会の「責任感」と「重圧感」を耐え抜いています。
他者の視線が自分に受け入れられていく過程をウィットに富んだ形で解きほぐすキム・ヒョンジョン作家の〈Naesoong(ネスン——本心を隠して取り繕う態度を指す韓国語)の物語〉シリーズの一つである今回の個展のテーマは「Naesoongオリンピック」です。
現代人は社会のなかで、互いの視線のあいだで、そのストレスを解消し、普段は抑え込んでいた感情を表に出すために「運動」をします。
日常のなかで運動をする姿は、激しく生きる現代人の姿をそのまま映し出したものかもしれず、あるいはその重さを解き放っているものとして映ることもあります。
キム・ヒョンジョンは昨年の秋から「近隣公園」(ソウル良才にある市民公園)で、その感情と悩みの断片をとらえ、画面に収め始めたといいます。作家は「他者の視線によって自分自身を縛りつける私たちの自画像」、その束縛された自我の解放を志向し、「制作をしながら慰めと安らぎを得た」と語りました。彼女のこれまでの作品が「青春の悩み」を描き出したのであれば、今回の展示「Naesoongオリンピック」では、「おばさん」と「おじさん」の解放空間である近隣公園で感じられる感性の断片を描き出しています。そうした悩みは、社会へ飛び込み、大人としての責任感と、それに加えて自分の成長について、まるで歳月の重さを持ち上げるようだという「私を持ち上げる」に、直接的に表現されています。また、すべての運動が日常で手軽にできるものから構成されているのに対し、それをオリンピックと表現することによって、社会と日常のなかでの激しさもそれとなく含み込んでいます。
世界は絶え間なく変わり動いているため、人々は取り残されないよう常に走り続けなければなりません。しかし作家は、激しく生きる現代人の否定的な姿ではなく、彼らの重さとストレスを解きほぐしてあげたいと語ります。
よい感情であれ悪い感情であれ、それらはエネルギーを持ち、人々に伝わって影響を与えます。今回の展示を通じて、来場者が疲れた生活に活力を、そして運動をする余裕を持てるようになることを期待します。
_ パク・イルギュ記者
[収録作品:ムクゲの花が咲きました(187×111cm) / マラソンランナー(200×121cm) / 私を持ち上げる(124×183cm) / 純情な女性(112×134cm) / 完璧な食卓(130×162cm)、いずれも韓紙にコラージュ、2014]