韓国画家 キム・ヒョンジョン ARTIST Hyunjung KIM

oh!クリエイター | 韓国画家キム・ヒョンジョンの物語ー Naesoongシリーズ2

媒体 oh!クリエイター 区分 新聞・オンライン記事 掲載日 2017.07.11 記者/番組 ムン・ハナ(デザインプレス エディター、写真キム・ジャンディ) 管理コード MN0253

「Oh! クリエイター」の第3回として、Naesoongシリーズの材料と表現技法を集中的に取り上げました。キム・ヒョンジョンは、韓紙コラージュで韓服のチョゴリを表現する理由、雁皮の韓紙を用いる理由と自ら韓紙を作るようになった経緯、協業の方法や制作期間などを明かしました。

全文を見る

韓国画家「キム・ヒョンジョン」第3の物語

「自分が直接経験し、感じたことだけを表現します」

▲ 前編を先に見る

Q (Naesoong(ネスン——本心を隠して取り繕う態度を指す韓国語)の女性のファッション——材料と表現——についての質問を続けましょう)韓服のチョゴリを彩色せずに「韓紙コラージュ」で表現する理由が気になります。

韓紙を選んだのは、中が透けて見えながらも水墨淡彩に似合う素材として、透明な感じを求めたからです。絹や布と比べて想像していただければ、韓紙のことが分かりやすいと思います。その点で韓紙は、中が透ける表現技法を生かすのにとても適した素材です。コラージュの技法で韓紙を絵に貼り重ねることで、韓服のチョゴリ特有の質感を生かすと同時に、単調になりがちな画面に緊張感を吹き込むことができます。韓紙コラージュそのものが、作業の画竜点睛のように興味深く、面白い過程でもあります。

Q Naesoongの女性の透けたスカートの中につい目が行ってしまいます。人物のヌードを通して語りたかったことがあるのでしょうか。

装うために着た服の中に隠された人物の本質を見せることに、重要な意味があります。とばりのような韓服を半透明に表現することで、それを貫いて人物の内側をのぞき込むことになるわけですが、見えるか見えないかのシルエットによって、人物の本質へ近づく可能性を象徴しています。見方によっては性的な部分が際立つこともありますが、私は「外と違う内側」「本質への接近」を語りたかったのです。

Q インスタレーション、写真、映像など表現技法が多様になるほど、必要な材料も多く、制作期間も長くなるのではないでしょうか。毎回容易ではないと思います。

Naesoongシリーズは基本的に韓国画の伝統技法を用いますが、メディアアート、3Dプリンティング、FRPなど多様な素材でもアプローチします。作品を通して私が語りたい方向や感覚によく合う方法なので、こうしたやり方を貫いています。

Q 韓紙にも本当にたくさんの種類があります。とくに好む種類はありますか。

一般に東洋画では「純紙」と「壮紙」、そして中国由来の「画仙紙」がよく使われます。伝統的な韓紙である純紙は繊維が長く紙が丈夫という特性があり、壮紙はこの純紙を何層にも裏打ちしたものを指します。私は純紙の中でも最も薄い「雁皮」を使っています。紙が薄くて軽いので墨が速く自然に定着し、細筆を使ったときにより澄んだ繊細な表現ができるからです。

Q 韓紙の製作技術まで学んだと聞きました。

初めから自分で作って使おうとしたわけではありません。ちょうど望む色と厚さの韓紙を手に入れるのが難しくて、場合によっては既製品を買って使うこともあり、作って使うこともあります。気に入っていた韓紙があったのですが、突然手に入らなくなったことがありました。その紙を作れる職人が国内にただ一人いらしたのですが、事情ができてもう作れなくなってしまったのです。こんなふうに突然消えてしまうこともある文化なのだと思うと、あっけなくもあり残念でもあって、自分でも受け継がなければと考えるようになりました。

Q 作品を完成させるまでの期間は、普通どのくらいかかりますか。

作品の構成から完成まで多くの段階を踏み、長い時間をかけて制作します。作品によって差はありますが、平均すると絵一枚に2〜6か月ほどかかります。

Q 作業はすべて手作業ですか。

実は意外にコンピューター作業が多いです。「韓国画にどうしてコンピューター?」とおっしゃる方が多いのですが、原画のほかに結果的にデジタルの成果物も必要になるので、適切に活用しています。構図を決めるときはデジタル写真の作業を主に行い、カラーの組み合わせをあらかじめシミュレーションしてみることもあります。作品の構想後の制作はすべて伝統的な方法で描き、データ化の段階でコンピューター作業が多くなります。

Q 一人でできる作業ではないと思います。アシスタントを置いていますか。

写真撮影のような場合は専門分野でもなく一人では難しいので、一緒に働く研究員の助けを借りています。裏打ちはすべての作品を専門家お一人に任せて作業し、材料は必要に応じて購入したり作ったりして使います。残りの絵を描く過程は一人で行っています。長い時間をかけて維持し発展させてきたノウハウが多いので、教えて分担して作業するのも簡単ではありません。

Q 制作で最も大切にしているポイントがあるとすれば何でしょうか。

一つ目は「疎通」です。作家は、正確に表現しにくい現象や観念をとらえ、鋭敏な感覚と訓練を通じて、人々の考えや感情を形あるものとして代わりに表現できる専門家です。結局大切なのは、疎通を通じて人々の表現欲求を間接的に解消できる作品をつくらなければならないという点です。またこうした努力は、作家個人にとっても自分を客観化し、孤独にさせないという側面があります。

次は「完成度」です。視覚的な作品の完成度はもちろん、語ろうとする内容の完成度も含みます。アイデアが浮かぶとメモをしておき、何度も繰り返し考えます。アイデアに欲を出しすぎると、絵が散漫になってしまうからです。制作には終わりが決まっているわけではないので、欲を出して誠実に取り組むだけ結果が変わります。作品への満足感と自信のためでもあります。

Q とくに難しかった場面や、気を配って描く部分はありますか。

馬は動物の中でも描くのが難しいほうだといわれます。コラボレーションのプロジェクトで馬が登場する絵を描きながら、ものすごくたくさん練習した記憶があります。また髪の毛のような細かい部分は、筆を入れるたびに息を止めて描かなければならないので、多くの訓練が必要でした。全体として見ればあまり目立たない文字や小道具を描くのに、本当に多くの時間がかかります。(Q 最初に馬の絵を見たとき、写真を合成したのかと思いました。)私も時々、描き上げて写真のように見えるときは、一人でうれしくなったりします。(笑)

Q Naesoongシリーズを始めてからかなり時間が経ちました。ご自身の姿を込めたとおっしゃいましたが、最初と比べて変わった点はありますか。

とても変わりました。初期の作品が比較的ほのかな雰囲気で彩色していたとすれば、後期に向かうほど動きが大きくなり、色彩も多様になりました。最近の作品である「Naesoong遊園地」のような場合は、はるかに華やかな感じです。自画像なので、私の体重が増えたり減ったりすると、Naesoongの女性の顔や体も一緒に増えたり減ったりします。もちろんある程度の脚色と編集はありますが、Naesoongシリーズはすなわち私自身の歴史なので、だんだん愛着が増していくように思います。

Q 作家に彼氏ができたら、Naesoongシリーズに別の登場人物が現れるでしょうか。もう少し経てば、おばさんになったNaesoongの女性とNaesoongの女性の赤ちゃんに会えるかもしれませんね。

こうした質問を受けると、冗談半分で「まだ描きたい男性の体に出会えていません」と答えていましたが、男性のNaesoongを扱ってほしいという要望が多くあります。自分が感じたことだけを表現するという主義なので、もう少し年輪を重ねて見る目が広がり、男性のNaesoongまでとらえられる時期になったら、一度挑戦してみたいテーマではあります。結婚をして子どもができたら、おそらく作品の中でNaesoongの女性がベビーカーを押しているのではないでしょうか。どうせなら、かわいい赤ちゃんが乗っていてほしいですね。

企画|デザインプレス編集部

取材・文:デザインプレス エディター ムン・ハナ

写真:キム・ジャンディ(516 studio)

資料提供:キム・ヒョンジョン アート・クリエイティブ・センター

デザインプレスは毎週1人のクリエイターを選び、「NAVERデザイン - Oh! クリエイター」を連載しています。

同時代の注目すべきデザイナーやアーティストに聞く、さまざまなデザインのストーリー。NAVERデザインで毎日お会いしましょう :-D

Oh! クリエイター - 韓国画家キム・ヒョンジョン

1. キーワードで見る人物探究

2. キム・ヒョンジョンのNaesoongシリーズ(1)

☞ 3. キム・ヒョンジョンのNaesoongシリーズ(2)

4. 芸術家として生き残る

5. キム・ヒョンジョンの「いいね」(日常と好み)

原文を見る →